介護保険サービス“いざというとき使えない”かも!

2016年11月12日 22時40分 | カテゴリー: 活動報告

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11月11日は「いい介護の日」だそうです。この日、「介護保険制度改定とその問題点」をテーマに鏡 諭氏の講演を拝聴し、その後、現場からの報告として、ワーカーズなど8名のパネラーの生の声を聞きました。

介護は、これまで女性に最も関わりが深い問題とされてきました。

実の親や夫の親を介護し、高齢となり今度は夫を世話し、老いた自分の老後を心配する。介護問題は常に女性の肩にかかってきました。
高齢化にともなう家族の変化と、医療の高度化にともなう介護の長期化など、家族だけでは支えきれないという社会認識の上に立ち、2000年に社会保険形式を用いた介護保険制度が創設され、従来の福祉が選別の制度であるに対して、介護保険は普遍的制度としてスタートをきりました。
しかし、15年が過ぎ、2015年に介護サービスを利用した人は、605万1,100人で、前年度より16万8,100人増え過去最高となりました。

制度創設時、給付は3.6兆円からスターとし、10兆円まで大きくなりました。現在、第1号被保険者数は3,390万人、第2号被保険者は4,315万人の約7,700万人が保険料を払い、同時にサービスを利用している人の数は605万人ということです。これは、高齢者の18%が利用する制度であり、このほかの被保険者の92%が給付を受けていないことを意味しています。

スタート時、介護保険料は全国平均で2,911円でしたが、現在は5,514円です。
昨今、介護保険料が高いか低いかという保険料を優先しての議論が高まり、7,900万人が加入し給付を受けていない人が極めて少ない医療保険と比較され、高齢者期を支える普遍的な制度であるにも関わらず一般の人にはまだまだわかりづらい制度となっています。

2006年の制度改正以降、国は負担の見直しを進めてきました。
2015年の制度改正では地域包括ケアシステムを構築し、自治体が主導となって政策を具体化する仕組みとなり、要支援1,2の人の給付サービスは市町村事業に移行することとなりました。また、制度以前から軽度者とされる要介護1,2の人は入りづらかった特別養護老人ホームの新規入所者を原則要介護3以上に限定しました。

大和市では2015年 1月の時点で、701 人であった特養待機者数が400人程度になっています。
しかし、軽度者と言われる人の中には、難病を患っている人や重い認知症の人もいます。
介護者も男性や、ヤングケアラー、ダブルケアなど多様に変化しており、介護保険サービスから外された場合、仕事を辞め介護せざるを得なくなるとたちまち生活が困窮するケースが増えることが容易に想像できます。

利用者に最も近い事業者からは、制度改定により要支援者と要介護1,2の軽度者と言われる6割の人が保険給付から外れた場合、事業として継続ができるのかといった不安が多く寄せられました。事業所の健全な運営が担保されなければ、地域の受け皿が淘汰され、必要なサービスが必要な人に届かなくなります。

神奈川ネットが行った自治体調査からは、神奈川県でも15自治体が総合事業をスタートさせていますが、まずは現行相当サービスを実施し、段階的に多様なサービスを導入する自治体が多く、基準を緩和したサービスは未だ実施されていないことが読み取れました。
パネラーからは、防介護サービスを11年間利用した90歳の女性が要介護1から要支援2に改善された実例など、介護保険のサービスにより保険給付や医療費が削減された貴重なデータが報告され、これらを検証することなく保険料を優先しての議論は、介護保険サービスが使いにくくなることに危機感が強まるばかりです。

このような現場や利用者の声を受け止め、先の改定の検証を行ったのちの丁寧な議論が必要です。