人をつなぎ、まちを育てる「まち保育」という発想

2018年4月3日 23時54分 | カテゴリー: 活動報告

保育ということばから連想するのは、保育者、保育士、保育園や幼稚園といった保育所など、限られたことばしか思い浮かびませんでしたが、横浜市立大学准教授で工学博士でもある三輪 律江(のりえ)さんの「まち保育」という考え方はもう一つ「ソト」の世界をも巻き込む新しい考え方でした。

三輪さんの専門は建築・都市計画、参画型まちづくり、こどものための都市環境と他分野にわたり、現在は神奈川県を中心に子育ての現場を回り、子どもと地域のつながりを側面から支援する活動をおこなっています。

まち保育というと昨年フィールドワークで訪れた「子育て子育ち支援センター さんぽ」のある「えだきん商店街」を思い浮かべました。若い世代が多い集合住宅が建つ住宅地の一角にある古くからの商店街は、車の乗り入れができないため、終日歩行者天国のようでベンチや遊具の貸し出しがあり、保育後も親子がとどまり外遊びや親同志の雑談をするなど和やかな環境にあります。しかし、年齢が上がれば子ども達の行動範囲も必然的にもっと「ソト」へと向かいます。

保育所イコール迷惑施設、そして外で遊ぶ子どもの声は騒音と言われて久しいですが、それらは外で子どもを遊ばせるのをやめてしまったりと、内向きな子育てを生むきっかけとなっています。
三輪さんは、親や先生、友達といった縦や横の関係だけでなく、年齢も性別も多様に存在する地域との「斜めの関係」が大切と説きます。
では、どのように関係性を築くのか、保育施設がちいさな生活圏の地域とつながることから始める事例を紹介されました。

例えば、子ども達のお散歩を子どもの目線で発見しコメントを入れ記録する保育士さんによるオリジナルの「おさんぽマップ」は、電車が良く見え運転手さんが手を振り返してくれる時間や場所、地域にあるお花がきれいなお家や、玄関先の可愛い置物など、子ども目線で見どころが書き尽くされており、普通の住宅地でさえ地域資源が豊富にあることを再発見します。特に都市部の園庭を持たない保育園で実践されているようで、毎回違うテーマで歩く中には防災まち歩きワークショップなどがあり、そこに地域のおとなが加わることで地域全体が子育てに関心を持ち、共に暮らす土壌の構築がゆるやかに進んでいきます。

子どもは家庭の中だけで育つわけではありません。「まち保育」の実践から子どもが育ち、親も育つ、そして地域がつながる子育て環境を推進していきます。