ナラ枯れ対策~里山林の保全計画に新しいビジョンを~

近年、カシノナガキクイムシ(カシナガ)が媒介するナラ菌により、ミズナラ等が集団的に枯損する「ナラ枯れ」が発生しています。

林野庁の発表でも2019年度の全国のナラ枯れ被害量は、前年度より増加し、約6万立方メートルとなっています。

2020年は、さらに被害が拡大し、神奈川県でも、広範囲で被害が確認されました。このホームページでも報告しましたが、昨年10月29日、会派の布瀬議員とみどり公園課職員や泉の森の指定管理者職員に説明を受けながら泉の森を視察した際には、143本のナラ枯れの被害を確認し、伐木などの緊急的対策が必要な樹木が20本あることもわかりました。

たくさんの木が集団で枯死してしまう「ナラ枯れ」が拡大することで、枯損した木の枝が落下したり、枯死した樹木が倒伏したりすることによる人身被害が発生する恐れがあります。

「ナラ枯れ」対策では、カシナガが穿入(せんにゅう)しても樹液を出し、中でカシナガを死滅されることができれば翌年は免疫をつけ、以後枯れることはないと被害木の生命力についての説明を受けました。 しかし、この説を翻す事実が見えてきました。

私が所属するしらかしのいえボランティア協議会では、各ボランティア部会と自然観察センター職員の活動を「しらかしのいえ通信」という会報を通して共有しています。新年度最新号では、センター職員がナラ枯れ被害対策セミナーに参加した報告が掲載されていました。

泉の森のような里山林は、人が手をかけることで維持されています。古来、日本の多くの里山も燃料となる薪を取るため木を伐り、15年~30年の周期で更新され健全な状態を維持してきました。1950年代の燃料革命で薪炭が使われなくなり、サイクルの変化が大径木を増やし、里山が密な状態になったことで被害が大きくなったとの説は胸に落ちました。森林病理学の観点からも被害木の免疫力には根拠がないとのことでした。

セミナーでは、被害を収束させるには、積極的に更新伐採を行い、「予防」に努めることが必要で、伐採された被害木を薪材やシイタケ栽培のほだ木として活用して欲しいと提案があったそうです。シイタケ菌はナラ菌を殺してしまうほど強く、資源として活かすことができます。職員の新鮮な驚きは、報告を目にした私にも伝わってきました。
里山保全の新しいビジョンを持った職員の活躍を心から期待します。